ほんの2週間前まではセーターを着ていたのに、もうすっかり春。
春らしい陽気の日が続き、桜はほぼ満開になった。
以前、イチョウのころに紹介した近所の公園でもかくのごとし。
2本しかない桜の1本。
通りかかったのが昼時だったので、
花の下でOLさんがお弁当を食べていた。
で、こんな日に決まって聴きたくなるJazzがある。
Clifford Brownの春または4月にちなんだ曲である。
かつて私が彼の伝記『クリフォード・ブラウン―天才トランペッターの生涯』に寄せたレビューがある(アマゾンカスタマーレビューに投稿)。
クリフォード・ブラウンというと、かつて寺山修司が有馬記念の観戦記でトウショウボーイを評した言葉を思い出す。「影なき男」である。確かテンポイントは「男なき影」と対照されていた。
概してモダンジャズの天才たちには、暗い影がべったりと付きまとう。麻薬、酒、放蕩、破滅願望。チャーリー・パーカー、バド・パウエルがその代表格だが、チェット・ベーカー、アート・ペッパー、マイルス・デイヴィスも御多分にもれない。その不良っぽさというか、反社会性というか、ダークなイメージがジャズの魅力の一部になっていることは否定できない。
しかし、ブラウニーには、そんな要素は微塵もない。暖かい家庭環境、クリーンな生活、温厚篤実な性格。抜群のテクニックと類い希な歌心。燦々と陽を浴びて表通りを歩んだ男、「影なき男」。しかし、その残された演奏に横溢するのは、スリリングで、ハートウォームな、紛れもないジャズの魅力である。唯一無比の魅力である。
「影なき男」は、しかし、生涯の最後に深い影に包まれる。交通事故による突然の逝去、享年は25歳であった。(後略)
私のClifford Brownへの評価はここに尽くされている。
ともに切れ味鋭いトランペットではあっても、
Miles Davisが殺人剣だとすれば、Clifford Brownは活人剣。
そういうイメージである。
だからこそ、生命が芽吹く春に、彼のトランペットはよく似合う。
「Joy Spring」https://www.youtube.com/watch?v=6tBJa8Ew6fQ
「It Might As Well Be Spring」https://www.youtube.com/watch?v=g5TMvOYgcR0
「I’ll remember april」https://www.youtube.com/watch?v=XSbaJxLGV7o
「April In Paris」(with Sarah Vaughan)https://www.youtube.com/watch?v=LJTxN6nIClA
お時間のある方はぜひ聴いてみてください。
個人的にはいずれもモダンジャズ史上、最高の名演のひとつです。
